掴んだ手すりが壊れ外れると転ぶ
1/14(土)の稽古に体験入門の方がお二人来られました。
体験入門の際に最初に紹介する技は、「隅落し」にしています。技の手数や足運びがシンプルで初めての方でも覚えやすく、合気道の特徴を理解してもらいやすいと考えるからです。
大抵の場合、手首を強く握られると、握られた側は反射的に体全体が硬直し、自身の緊張で動けなくなってしまいます(居着き)。しかし、実は、手首を握られただけで全身が動かせなくなることはないのです。肘から上を脱力すると存外に動ける範囲は残されているもので、そこに技を仕掛ける余地が出てきます。
また、握った側も相手が緊張して硬直すると、それを支えに体を制御しようという反射が生まれます。ちょうど、握った相手の腕が手すりのような役割になるのです。
想像していただきたいのですが、もし急な階段を上り下りするために手すりを掴んだとき、その手すりが壊れていて外れてしまったらどうなるでしょうか? バランスを崩したり、場合によっては転倒してしまうかもしれません。こうしたことは、体が大きく力の強い力士であっても起こり得ます。つまり、体の大きさや力の強さとは関係なく、体を支えることの目算が外れると人はバランスを崩しやすいのです。こうした体の仕組みを利用することが「隅落し」の要訣の一つではないかと考えています。